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【青の街】
花がたくさん咲いている街。様々な種類の花が咲いていたが、すべて青い花だった。住人達は涙をよく流す。青は哀しみの色であり、花の神は花に青を使うことを避けたのにも関わらず、彼らは青い花を作ってしまったらしい。街の中心に咲く青い薔薇は花の神の涙で常に濡れている。
【帳の街】
家々には壁はなく、豪華絢爛な帳が垂れ下がる街。辺りからは馥郁たる香りが漂い、白い肌と黒い髪を持つ住人達は刺繍のうつくしい服を着ていた。女たちは顔に薄布を垂らし、決して素顔を見せることはない……。帳は季節ごとに変えるとのこと。夏にいったが冷色の帳は目にすずしい。
【鴉の街】
住人一人につき一匹鴉を飼っている街。この街でははるか昔から鴉を人間の友としており、幼少期より鴉を飼っている。不思議なことにこの街の鴉は飼い主の寿命と共に死ぬ。夕暮れの空に街の住人と鴉が飛んでいた。彼らの死後は終わらない空に向かっての旅となるらしい。横には無二の友がいる。
【眠の街】
夜10時から朝6時まで全住人が眠るよう強制される街。夜に目を開く者はその光を狩られるとか。眠れずに窓の外を眺めていると黒い被衣を着た巨大な人々の行列が歩いていた。恐ろしくて布団に潜り込むと窓硝子がみしみしと軋んでいたが、あれは悪夢ということにしている。
【海の街】
海底に沈む街。はるか昔に落ちた隕石によるクレーターで出来た海の底に街がある。酸素ボンベを使用することで訪問出来る。街の住人はうつくしい歌声を持っているが、残念ながらその声を地上で響かせることは出来ない。人々の肌に我々が触れると火傷させてしまうので、細心の注意を払うこと。
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