「少女」「帽子」「京都」

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「少女」「帽子」「京都」

今から西のみやこへ行くという少女を見送る。 「西と東、なにが違うんでしょうねぇ」 「あたし、そんなの知りたかぁないのだけど」 「とお様が行けと言うの」 「仕方の無いことよね」 つんとくちびるを尖らせる仕草は幼い頃とまったく変わってなくて、めまいがした。わたしは少女の白い首筋を黙って見つめる。 「きょおとで白粉をぱたぱたやって」 「あかぁいくちべに」 「……うふ。ほんの少し楽しみ、って思うことにしたわ」 少女はなおも黙ったままのわたしを不満足そうに見つめた。 「あなたはそんな不満足そうな顔をなさるけど、きっとあたしのことなんてすぐ忘れるんだわ」 「それをあたしは知ってる」 少女の可憐な名前が呼ばれる。少女はこれからの地獄を知って軽やかに返事をする。わたしの頭に彼女がつい今さっきまで被っていた帽子を乗せた。 「あたしのこと、えいえんの欠落にしてちょうだいね」 わたしは。黙ったまま彼女を見送った。 天藍さんの今日のお題は 「少女」「帽子」「京都」です #今日の三題噺のお題 https://t.co/8quJJOMvMV 2017/08/08
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