「炭酸」「ケーキ」「ジキルハイド」

1/1
前へ
/38ページ
次へ

「炭酸」「ケーキ」「ジキルハイド」

「不幸は炭酸に似ている。炭酸は決して不幸には似てないんだけど」 ケーキはいつも通り、隣町のphantomで買ったオペラ。銀のカトラリー。白のティーカップの中身は透明でぱちぱちと泡が弾けている。ぼくはお行儀悪くフォークでティーカップをちん!叩く。 「つまり?」 「不幸は泡だ。うたかた……ほうまつ。ぷくぷくと表面に現れて、はじけて、おわり。ほら、炭酸に似てる。」 「きみ、オペラに炭酸水なんて、食べ合わせが悪いにも程がある。」 「ばか、だからこのふたつで出したんた。」 「折角のおいしいケーキをこんな風に食べるなんて、冒涜だよ。」 ぼくはオペラをフォークで切り取って口に運ぶ。オペラの珈琲の香りはジキル&ハイドの結末に似た苦さだった。 「炭酸」「ケーキ」「ジキルハイド」がテーマの天藍の話を作ってください。 https://t.co/w8iohDRMdJ 2017年8月7日
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6人が本棚に入れています
本棚に追加