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「炭酸」「ケーキ」「ジキルハイド」
「不幸は炭酸に似ている。炭酸は決して不幸には似てないんだけど」
ケーキはいつも通り、隣町のphantomで買ったオペラ。銀のカトラリー。白のティーカップの中身は透明でぱちぱちと泡が弾けている。ぼくはお行儀悪くフォークでティーカップをちん!叩く。
「つまり?」
「不幸は泡だ。うたかた……ほうまつ。ぷくぷくと表面に現れて、はじけて、おわり。ほら、炭酸に似てる。」
「きみ、オペラに炭酸水なんて、食べ合わせが悪いにも程がある。」
「ばか、だからこのふたつで出したんた。」
「折角のおいしいケーキをこんな風に食べるなんて、冒涜だよ。」
ぼくはオペラをフォークで切り取って口に運ぶ。オペラの珈琲の香りはジキル&ハイドの結末に似た苦さだった。
「炭酸」「ケーキ」「ジキルハイド」がテーマの天藍の話を作ってください。
https://t.co/w8iohDRMdJ
2017年8月7日
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