40人が本棚に入れています
本棚に追加
気づけば大通公園近くの地下への出入口に着いていた。
蒼井はその横にある人の流れを邪魔しない
奥まったスペースに立ち止まって続ける。
「今更、ムシがいいと思われるだろうけど
俺はこれからも真里と今迄通り楽しくやっていきたいと思ってるんだ。」
「ホント、ムシがよ過ぎね。それだって私がたまたま帰ってきたからでしょ?そうじゃなきゃ私の事なんて忘れてたくせに!」
「・・・忘れないよ。真里の事、忘れるわけないだろ。」
驚くほど真剣な蒼井の眼差しに、真里は気圧され黙り込む。
少なくとも彼にとって自分がどうでもいい存在という訳ではないことは窺い知れる。
それに。
滅多にこんな早い時間に帰れない蒼井が仕事を切り上げて息を切らせて追いかけてきてくれたことを密かに嬉しく思ってしまう。
やっぱり私はあなたに甘いよね・・・。
惚れた弱み。
その言葉を改めて実感する。
「ちょっと悲しかったのよ・・・。」
真里はポツリと言い、蒼井を見上げた。
「私、すごく立ち入った事を聞くしきっと嫌な事も言うと思うよ。それでもいい?」
「いいよ。」
蒼井は小さく頷いた。
最初のコメントを投稿しよう!