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真里は困惑しつつ蒼井に言った。
「ややこしいコが増えたのね。」
「まあね。でも宮崎以上に
ややこしいのはいないから心配はいらない。
あいつがいるだけでとにかく毎日賑やかなんだ。」
蒼井はフフッと楽しそうに笑った。
その横顔から蒼井がどれほど宮崎を信頼し
可愛がっているかがわかる。
そうしている間にオフィスからは
電話が鳴る音が聞こえ始め
昼休みの終わりを告げる。
オフィスの出入口から
代わる代わる顔を出す部下達が
蒼井に向かって口々に言う。
「蒼井さん、確認したいことがあるんですが。」
「蒼井さん、書類のチェックお願いします。」
「蒼井さん、3番にお電話です。」
「わかった。すぐ行く。」
蒼井はみんなにそう返事をしてから、
真里を振り返った。
「さあ、戦闘開始だ。真里もいこう。
まずは挨拶するんだろ?」
先に歩き出した蒼井の背中は
昔に比べてより広く大きく見えた。
真里の知らない7年間に
彼が積み上げたキャリアと自信が
そう見せているのかもしれない。
うん、と頷き、その背中に続く。
蒼井と高山。
彼らの仲間として
また一緒に働けることが誇らしかった。
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