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何から話せばいいのか。
真里は迷ったが、ひと呼吸おいて切り出す。
どうしてもそこを避けては語れないから。
「この間、優ちゃんから聞いたの。徹さんが亡くなったこと・・・。」
「そうか・・・。4年前のことだよ。」
いつもと変わらぬ静かな口調の中に悲しさと悔しさが滲んでいるように響く。
「大変だったね・・・。」
徹のことについてはそれ以上かける言葉が見つからない。
「まあね。」
蒼井は力なく微かに笑った。
真里は淡々と話を進める他ない。
「だからさ、そう言うことならちゃんと話してほしかったの。」
「・・・徹のことを?」
「ええと、徹さんのことと言うかあの女性の・・・徹さんの奥さんとのことよ。」
「彼女とのこと?」
「そうよ。蒼井くん、前に徹さんの奥さんとはご飯食べる時にたまに会うだけって言ってたよね?2人きりで会ったこともないって。
でも子ども達もすごく懐いてるみたいだし、あんな風に遊びに連れて行くってことは、その・・・お付き合いしてるとかもう家族同然とか、そう言うことなんでしょ?それならそうと蒼井くんの口から話してほしかったの。
隠さないで、本当の事を教えてくれればよかったのよ!」
はぁ~、すっきりしたぁ。
それが今の真里の素直な気持ちだ。
溜まりに溜まっていた蒼井への不満を
一気に吐き出して清々しい気分でさえある。
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