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「お待たせしました。」
両手にパスタの皿を持った店員が
それぞれの前に注文した品を置く。
「どうぞごゆっくりお召し上がり下さい。」
常連である2人に笑いかけて
深々とお辞儀をして戻っていった。
蒼井が手元にあったカトラリーの籠から
フォークを取り出して手渡してくれた。
ありがとう、と受け取りいつもの調子で蒼井のパスタを覗き込んだ。
「それも美味しそうだね。」
「食べてみる?」
「うん!」
真里はまだ口をつけていないフォークで
蒼井のボロネーゼを突っつく。
「ほんと、食いしん坊だよな。」
蒼井もいつものように楽しそうな笑顔を浮かべて真里のそんな姿を眺めている。
「悪かったわね。カニクリーム、いらないんだ?」
「いる。」
そう言いつつ
蒼井も真里のパスタに手を伸ばして口に運ぶ。
「やっぱりうまいなー。」
「うん、美味しいよねぇ。」
言いながらふと目が合い、互いに微笑む。
このまま時間が止まればいいのに。
切にそう願った夜だった。
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