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その日の15時、真里の姿は
SAシステム株式会社・システム部奥の
ミーティングルームにあった。
目の前には積み上げられた膨大な資料。
前任者が仕事の都合でまだ帰社できず
引き継ぎが始められない為
ひとまず関係書類に目を通すことになった。
2時間近くを費やし
ようやく2冊目のファイルを読み終えたところで
真里は大きな溜息をついて長机に突っ伏した。
コンコン。
入口をノックする音と共に高山が現れた。
ミーティングルームと言っても
パーテーションで仕切られただけなので
ドアがあるわけではないのだが
入室を知らせるマナーとして
何となくみんなそうして入ってくる。
高山は15分の休憩時間を利用して、
部下となる真里の様子を見に来たらしい。
「捗ってるかね?」
真里は突っ伏したまま答える。
「ダメ。全然頭に入らない。資料あり過ぎ。」
「クライアントの半分以上を
俺と蒼井のとこで持ってるからな。
こんなのまだまだ序の口だぜ。」
高山は真里の傍らに立ち、
資料の山をポンポンと叩きながらニヤリと笑った。
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