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「本当だ。きれいだね。」
そう答えた真里の横顔を見つめて、蒼井が尋ねる。
「・・・どうするか決めた?」
真里は蒼井に首を振って見せた。
「そうか・・・。」
蒼井はそう言ったきり黙り込んだ。
今度は真里が聞く。
「もしも逆の立場だったら蒼井くんはどうする?福岡に行く?」
「俺だったら?」
「うん。」
「俺は男だし、会社から行けと言われれば
行くだろうな。」
「すごく好きな人と・・・離れることになっても?」
真里が戸惑いつつ重ねた質問に蒼井は端的に答える。
「仕事だから。」
「・・・そうだよね、仕事だもんね。
そんなこと言ってちゃダメだよね。」
「急な話だから悩むのは仕方ないよ。
誰だって好きな人とは離れたくないし。」
蒼井が伏し目がちに言った。
真里はその胸の内を知りたい。
あなたが離れたくない人は誰?
きっと私ではないんだよね・・・?
自虐的にそう思う反面。
蒼井くんに引き止めてほしい。
行くなと言ってほしい。
そんな淡い期待も抱いてしまう。
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