Ⅳ.春雷

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「本当だ。きれいだね。」 そう答えた真里の横顔を見つめて、蒼井が尋ねる。 「・・・どうするか決めた?」 真里は蒼井に首を振って見せた。 「そうか・・・。」 蒼井はそう言ったきり黙り込んだ。 今度は真里が聞く。 「もしも逆の立場だったら蒼井くんはどうする?福岡に行く?」 「俺だったら?」 「うん。」 「俺は男だし、会社から行けと言われれば 行くだろうな。」 「すごく好きな人と・・・離れることになっても?」 真里が戸惑いつつ重ねた質問に蒼井は端的に答える。 「仕事だから。」 「・・・そうだよね、仕事だもんね。 そんなこと言ってちゃダメだよね。」 「急な話だから悩むのは仕方ないよ。 誰だって好きな人とは離れたくないし。」 蒼井が伏し目がちに言った。 真里はその胸の内を知りたい。 あなたが離れたくない人は誰? きっと私ではないんだよね・・・? 自虐的にそう思う反面。 蒼井くんに引き止めてほしい。 行くなと言ってほしい。 そんな淡い期待も抱いてしまう。
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