Ⅳ.春雷

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やがて真里の自宅マンションの前に着き 2人は向かい合う。 真里は精一杯の笑顔を作って礼を言った。 「ありがとう。」 「うん。」 蒼井は微笑んだ。 しかしその表情は笑っているはずなのに どこか物憂げで、とても悲しそうに見えた。 平然としていたかと思えば 急にそんな顔を見せたり。 真里には蒼井の気持ちが全く読み取れない。 この週末が明ければ福岡へ行くか行かないか 返事をしなければならないのに。 もちろん自分で決断すべきことだとはわかっている。 でも、どうしても。 やはり蒼井の本当の気持ちが知りたい。
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