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「乾杯っ!」
お決まりの掛け声と共に
白く曇るジョッキをカチンと合わせて
皆一斉に冷え冷えのビールを喉の奥に流し込む。
入社したての頃から行きつけの居酒屋で
真里の帰還を祝う会が始まった。
「はーっ、やっぱりみんなと飲むビールは格別だわぁ。」
懐かしい掘りごたつの個室で
真里はビールの殆どを一気に飲み干し幸せそうに言った。
「さすが真里さん、いい飲みっぷりですねぇ。
お酒が強い女性もステキだなぁ。
あ、次は何飲みます?またビールにしますか?」
真里の真正面の席に陣取り
はしゃいだ声を上げたのは言うまでもなく宮崎だ。
そんなを彼を、真里の隣に座る高山がジロリと睨む。
「何でお前がいるんだよ。
昔のメンツって言ってんだから普通は遠慮するだろうが。」
「まあまあ、高山さん。そんなカタイこと言わずに。
我が社のスリートップと言われてる仲じゃないですかぁ。」
「一緒にするな!お前が入ったところで
大甘に見ても2.3トップくらいだ。」
「なんなんですか、その中途半端な数は。
0.7分も僕に何が足りないって言うんですか?」
「落ち着き。」
宮崎の横で静かに飲んでいた蒼井が的確な指摘をする。
「蒼井さんまで!ほんっとに二人とも意地悪ですよね。」
宮崎が女の子のように頬を膨らませる。
そんな表情さえ似合ってしまうほど
彼は童顔で可愛い顔立ちをしている。
「将来有望な29歳」と自負するように
仕事においても蒼井や高山に認められ
明るく人懐っこい人柄は社内でも大人気。
特に年上の女性からの支持は絶大で
弟にしたい男性社員のランキングがあれば
確実に第1位だろう。
ちなみに昨年の総務課調べでは
付き合いたい男性社員第1位は高山
結婚したい男性社員第1位は蒼井だった。
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