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開いたエレベーターの扉をくぐるのに、
こんなに勇気がいるとは思わなかった。
足が竦む。
その間にエレベーターの扉が
閉まりそうになる。
「おっと!」
慌てて開ボタンを押し、
真里は16階のエレベーターホールに降り立った。
ごくありふれた白い壁と
フロアタイルの床も何だかとても懐かしい。
オフィスのフロアは中心部に
エレベーターホールと非常階段
そして西側奥に喫煙室がある。
上から見ると
ちょうどカタカナのコの字のように通路が走り
外側に各オフィスが並ぶ。
SAシステムのオフィスは
東側の半分くらいで、残りのスペースは
他の二つの企業が使用している。
腕時計に見ると、時刻は12時45分。
まだ午後の始業まで15分ある。
コーヒーでも飲もうかな。
そう思い、SAシステムのオフィスとは
逆方向に通路を進む。
西側の真正面には15・16・17階のオフィスに
勤務する社員専用の広い休憩室があり、
たくさんの自動販売機が設置されている。
そこに向かいかけて、あっ!と立ち止まる。
ダメだ、暗証番号がわからない。
休憩室のドアを開ける為には
セキュリティシステムに入力する
4桁の暗証番号が必要なのだ。
まだオフィスに行っていない真里が
それを知るはずもない。
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