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蒼井遼一、35歳。
彼は真里の頼れる同期であり
気の合う友人であり
札幌を離れる前の2年間は恋人でもあった。
理知的で物静か、おっとりしていながらも
言うべきことは言う。
女性はもちろん、なぜか男性にも好かれてしまう。
しかしながら自分が人目をひく存在であると
全く認識していない。
そこもまた彼の魅力のひとつなのかもしれない。
蒼井は真里の問いに屈託のない笑顔で答えた。
「ああ、なんとかね。真里も元気そうでよかった。
変わらないな。」
以前と違わぬ彼の態度に真里は心底ホッとし
ようやく自分のペースを取り戻す。
「そう?ありがとう。蒼井くんも変わらないね。
もっとお腹の出たオジサンになってるかと
思ってた。」
「オジサンにはなったけど
まだまだ腹が出るほど
楽はさせてもらえないらしい。」
「忙しいのはどこの支社も一緒ね。
今はどんな感じ?」
「今週は少し落ち着いてるよ。
先週が俺と高山の所が修羅場で
3日連チャン徹夜だった。」
「想像するだけで鳥肌が立つわ・・・。」
「今月末からまたひと山ふた山あるから
覚悟しといた方がいいぞ。」
「赴任初日から脅かさないでくれる?」
真里は頭を抱えた。
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