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帰宅してからの真里は大忙しだった。
何を着ていったらいいの!?と
クローゼットをひっくり返す。
パックしなきゃ、トリートメントも!
翌日の初デートの為にできる限りのことをして
毎晩欠かさないビールも飲まずに早々にベッドに入った。
しかし緊張のせいかしばらく眠れず
仕方がないのでビールをひと缶だけ飲むと
今度はすぐに意識が遠のいた。
待ちに待った翌朝。
お気に入りのネイビーのロングワンピースに
オフホワイトのカーディガンを羽織って
真里は心臓をバクバク言わせながら
西18丁目駅の改札口に向かった。
約束の10分前には到着したが、蒼井はもう着いていた。
ベージュのジャケットの下に
ボーダーのトップスと黒のパンツ。
何でもないシンプルな服装なのに
彼が着るとモデル並みに格好良く見える。
スーツももちろん素敵だが
社内行事くらいでしか私服姿を
見る機会がないのでとても新鮮だ。
「おはよう。」
蒼井が笑いかけた。
「おはよう。ごめんね、待たせた?」
「今、改札出たばかりだよ。」
そして真里を見つめて続ける。
「うん、すごく似合ってて可愛いよ。」
「あ、ありがとう・・・。」
ごく自然に繰り出された褒め言葉に
真里は頬を赤らめた。
蒼井は小さく頷き、改札機に向かう。
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