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・・・あれっ!?
目を開けると見慣れた現在の部屋だった。
テレビも電気もつけっ放し。
ソファーに身体を預けて
いつの間にか寝てしまっていたらしい。
時計の針は午前4時過ぎを示している。
空も白んでいるようで
カーテンの隙間がうっすら明るい。
もちろん例の映画はとっくに終わっている。
眠れそうにないなんて大嘘だわ。
真里は心の中で自虐気味に呟いた。
座るでも横になるでもない
中途半端な姿勢で眠っていたせいか
身体を起こすと首や背中が痛い。
イテテッ、と言いながらちゃんと座り直し
傍にあったクッションをギュッと抱き締めた。
思い出に浸っているうちに寝てしまったのか
そもそも最初から夢だったのかは定かではないが
幸せな時間を噛み締めた後の現実はあまりに辛い。
何百キロもある重りを乗せられて
もう浮かび上れないくらい深く深く沈められた気分だ。
「あーあ・・・。」
溜息混じりに声を出し
ソファーの背もたれに身体を任せ天井を見上げた。
蒼井と交際していた頃に真里が感じた
包み込むような優しさや大切にされている喜び。
きっと今は全てあの女性のものなのだろう。
いや、彼が自分に向けてくれた気持ちなど
あの女性へ注ぐ愛情に比べたら
蟻と象ほどの違いがあるに決まっている。
何しろ相手は蒼井が長きに渡り
恋い焦がれていた人なのだ。
そう思うと抑えきれない羨望と嫉妬に苛まれる。
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