I.再会

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振り向くと浅黒い肌をした高山修二が ベビーフェイスの後輩を従えて こちらへと歩いてくる。 高山は蒼井に勝るとも劣らない二枚目で 身長は蒼井より5~6センチ 態度は2倍、いや3倍でかい男だ。 歯に衣着せぬ物言で 納得がいかなければ先輩だろうが 上司だろうがそう簡単には折れない。 物腰の柔らかい蒼井とは対照的で 彼らは水と油のように思えるが 不思議とウマが合い 新人研修の頃からつるんでいる。 その後、真里を含めた5人が システム部へ配属された訳だが 高山と蒼井の仕事ぶりは 新人の頃から抜きん出ており いつしか社内では二人のことを [我が社のツートップ]と呼ぶようになっていた。 「久しぶり。」 そう言いつつ高山に手を振った真里に ダッシュで駆け寄ったのは なぜかベビーフェイスの後輩くんだった。 後輩くんはスマホを差し出しながら言った。 「よろしければID交換お願いします! 更によろしければ付き合って下さい??」 「え・・・?」 きょとんとして、真里が聞く。 「あなた、誰?」 後輩くんは真剣な面持ちで答えた。 「失礼しました。 僕は宮崎敬吾、将来有望な29歳です。 一目惚れです!よろしくお願いします??」 「う~ん・・・。スピーディーで ストレート、なかなか面白い アプローチではあるけど 年下には興味ないの。ごめんね。」 「そう言わずに!お試しだけでも!」 食い下がる宮崎の背後から 置いてきぼりをくらった高山が ヘッドロックをきめる。 「宮崎!てめぇが真里を口説くなんざ 百万年早いっ!」 「うぅーっ・・・高山さん、離して下さいよ! 百万年なんて僕の愛で あっという間に飛び越えてみせますっ!」 「まだほざくか、この小童が!」 高山は宮崎を オフィスへ引きづりこみながら提案する。 「蒼井!今日の夜、昔のメンツでひと足先に 真里の歓迎会やろうぜ!もちろん宮崎はハブで。」 「何でですか??僕も仲間に入れて下さいよ!」 宮崎は必死に高山の腕を振りほどこうとするが なかなか思うようにいかない。 「お前、昔のメンツじゃないだろーが。」 「そんなこと関係ありません! 僕も行きますから!絶対に行きますから! 助けてぇ、蒼井さん・・・真里さーん・・・。」 二人の姿はオフィスの中に消え 宮崎の声だけが断末魔の叫びのように悲しく響く。
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