III.残夢

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システム部では各チームとも プロジェクトマネージャーの席は お誕生日席のような配置で すぐ右側がサブの席と決まっている。 真里は今日から自分の席となる 元・山野の机にバッグを置きながら パソコンのモニターを凝視している 高山に声をかけた。 「おはよう。」 「おはよう。」 高山は一瞬だけ真里の方を見たが すぐにまたモニターに視線を戻した。 そして淡々とした様子で聞く。 「どうした?何かあったのか?」 「えっ?なんで?」 「“私は今日、すこぶる機嫌が悪いです”って 顔に書いてある。」 真里は思わず両手で顔面を覆った。 「そ、そんなことない。月曜の朝なんてこんなものよ。」 「そうかよ。まぁ、いいけどな。 それはそうと今週から始まる予定だった案件が クライアントの都合で遅れそうだ。 来週中に手をつけられればいいが それ以上延びるとキツイな。」 高山は軽くボヤいてからキーボードを叩き始めた。 この男は本当に油断ならないわ。 真里は横目で高山を見やりつつ仕事の準備を始める。
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