III.残夢

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昼休みのシステム部は数人のお弁当組と 真里だけが残るのみとなった。 真里は用意していたシリアルバーなどをかじりながら スマホのチェックをする。 夏菜子と福岡で仲良くしていた 同僚からメッセージが届いていた。 夏菜子は真里の様子を心配し 福岡の同僚は近況報告だった。 それぞれに返信をして あとはニュースや保留にしていた記事を 読んだりして昼休みを過ごした。 午後の始業時間が近づき 昼食に出ていた社員達が戻ってきて 室内はまた賑やかになる。 高山達もそれぞれペットボトルを片手に オフィスに帰ってきた。 「土産だ。少しか食べたか?」 そう言いながら高山がお茶のペットボトルを 真里の机の上に置いた。 「ありがとう。食べたよ。」 「食欲無いって?大丈夫か?」 蒼井が真里の顔を覗き込む。 「大丈夫・・・。」 真里は俯いたままボソリと答えただけで 「トイレ行かなきゃ。」といきなり立ち上がり そそくさと席を離れた。 残された3人の男達は怪訝そうに顔を見合わせた。
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