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 あの日、私からすると成人式以来会っていない面々がほとんどの、20人にも満たない人数が集まっていた。  保育園、小・中学校合わせて、12~13年を共にしたはずの仲間が一堂に会していた。なのに、私が話したのは内2~3割くらいのものだった。  先生とは今も年賀状のやり取りはあるし、数年に一度ほど電話で話すかお宅にお邪魔させていただく程度に交流を持っていたけれど、そこに行くのは本当は憚られたものだった。  いじめられていたわけでもない。当時は、それこそ稀に見るほどの仲の良いクラスだった。その中でも、ひと際騒がしい中に私もいたはずだった。私を形作っていった掛け替えのない人々のはずだった。  けれど、どこか浮いた存在だったのかもしれない。  女はグループというのを作りたがる。中学生辺りになると、男女も少しづつ分かれ始める。そうした時に、私はどこにも属していないものだった。  席替えのたびに、さらには授業で何かしらのグループ分けをするたびに。クラス内ではとっくに出来上がっていたグループという枠組みを、私は転々としているような存在だった。  男友達ともそういった感じで、誰とも親しくしていたつもりだったのだが、やはり、男と女とでは何か線引きみたいなものがあるようなのを途中で気付いた。  それでも中学卒業までは、みな、仲の良いクラスだったはずだ。  それが高校に上がった途端、疎遠になった。女友達は今でも連絡を取ったり、帰省のときに会うこともあったが、めっきり男友達とは疎遠になった。 狭い地元。たまたま会って挨拶程度に話し掛けても、それを流すように去っていく彼らの心中を推し量ることなどできる余地もなかった。  そんな中の、“佐々山先生お疲れ様会”と銘打たれたあの会。  そして、先生のあの言葉。  どう受け取ればいいのか分からないのだ。  地元を離れ住んでいる土地は、適度に田舎で適度に都会。当時よりもずっと広い環境で、広い人間関係も築いてきた。30半ばで、独り身で。  今まで、どれほどの人と親しくしてきたのか。  今まで、どれほどの人を知らずに失ってきたのか。  そんなことばかりが、あの先生のスピーチで頭の中を埋め尽くしていた。
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