メモリアルアルバム

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純粋培養の痛みも苦しみも知らなかった箱入りのお嬢、それが、当時14歳の河合安奈で、これから挫折と苦渋と恥辱を覚えさせられ殺される。 彼女は私が担当するリストの魂の一つだった。 彼女は血と脂と汚辱にまみれて目覚めた。 何も知らなかった彼女が狂気を知り復讐を覚える。 美しかった。 その魂の美しさに惹かれた自分は、彼女に契約を申し入れた。 "貴女が復讐を果たすまで魂は奪わない。貴女の力になる。契約が果たされた時貴女は私に純潔と魂を引き渡せ"と あの冷たい冬の雨の晩から二年。 安奈は高校一年生になり、高校生活をおくりながら、復讐を続けている。 学校で上級生に絡まれ人目につきにくい校舎裏『ナマイキナノヨ』『ヤッチャオ』『ソウシヨウ』そんなノリで上級生に引きずられ、今まさに制服が破かれそうである。 ーー不味いな~アイツが…契約不履行だと怒り狂わねばいいのだが。 考え事をしていると、ずぶずぶと安奈の影からバトラーの格好をしたFカップ美女。美雪が現れ、安奈を取り囲んでいた上級生達をとりあえずだろう影の中に飲み込んだ。 そしてスチャリとゴツいカメラをかまえハアハア言い出すのだ。 「駄目です、やめてください、お姉さま…!」裏声 そして「くうっ、美味しい、美味しすぎる」 身の危険を感じた安奈は両腕で細い身体を抱くようにし、まだバシャバシャとシャッターを切る美雪を心底蔑んだ目で見て思い切り蹴飛ばす。 「ド変態死神」ドスの利かせた低音で罵る。 安奈一人には広すぎる邸宅で、バトラーの格好をした美雪はブチブチ文句を言いながら完璧に自分の仕事をこなしていく。 広いサロンで安奈はアフタヌーンティーのティーセットを、その側近くで美雪は自分が撮った写真の整理をしている。 "メモリアルアルバム#6"出会って二年だがすでにアルバムは6冊もあるのかと、見なければ良かったと安奈は少し気を遠くする。 見かけに似つかわない粗雑な言葉が美女バトラーから吐き出される。 「だいたい私みたいな上級死神がこんな小娘一人に入れあげて任務放棄なんて本来あり得ないのよ」 安奈は皮肉気に笑って 「早くくたばれって?」 「まさか!」 「生きてあの時見せた宝石のように凝縮された美しい狂気と殺意。それを契約終わりまで見せて、その美しい狂気と殺意に私のエクスカリバーがエレクトしたのよ。」
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