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「日野、遅かったね。
皆、柔軟終わって今チーム別で
パス練してるトコ」
「了解、マネージャー」
俺達は部活では互いの名前は呼ばない。
“日野”と“マネージャー”だ。
二年になる前くらいから岩倉が
そう言い始めたから、自然俺もそうなった。
「俺はAチームに合流するから
お前、BCにそのままパス練と
十分後にチーム戦をやるって
伝えてこい」
「監督に許可取らなくて良いかな?」
「……お好きなように」
「一応、伝えてくるよ。
あの人、日野には全幅の信頼置いてるし
問題はないと思うけど、例の練習試合も
控えてるからさ」
「勝手にしろって」
じゃと笑った後、踵を返してグランドを
走っていった。
「………………」
俺はつい癖で、いつもその走り方を
見てしまう。
歩いている時はまず気が付かないが
走る時、ほんの少しだけ
引きずってみえるその足を。
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