アイキャンディー~もう、貴方だけしか~

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花火は手を伸ばせばそこまで届きそうな、すぐ目の前で大輪の花となってわたしたちを魅了した。 何発も何発も上がっては咲いて、儚く消えていく。 わぁ……と感動している耳元で「ノリ姉」と聞こえたような気がして賢くんの方を向いた。 ……………………………… …………………… ………… 体が固まってしまった。 わたしの目の前にどアップの彼の顔があって、口唇に柔らかいものが触れていて。 何が起きたのか暫く理解できなかった。 柔らかいものが離れていき、それはまた耳元へ移動して「好き」と呟いた。 何秒間固まって、何秒間見つめていただろう。 それが理解できたとき、花火の打ち上げ音よりも大きいんじゃないかと思うくらい、わたしの心臓はバクバクと鳴り出した。 「ひ、ひ、人が見てたかも知れないじゃないっ」 わたしは周りが気になって、キョロキョロとした。 「大丈夫。みんな花火を観てるって」 確かに周りの人たちは皆、空を見上げている。 それにしても彼の不意打ちに、わたしのバクバクは止まらない。 「ノリ姉、もう1かぃ……」 言い終わらないうちに、またわたしの口唇は彼のそれによって塞がれた。 花火はフィナーレを迎えて、夜空は月と星だけを残し瞬いていた。
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