アイキャンディー~もう、貴方だけしか~

3/12
前へ
/12ページ
次へ
あの日の昼休み、更衣室にお弁当とスマホを取りに行ったとき、ちょうどバッグの中で振動を感じた。 画面には、以前貰った名刺に書いてあった番号を予め登録していた『豊川賢雄さん』の文字。 更衣室には他の社員も数人居て、電話の内容を聞かれるのは恥ずかしかった。 急いで更衣室を出て廊下の端の方へ移動し、高鳴る鼓動とともに「もしもし」と出ると、「もしもし」と返ってきたのが何だかくすぐったかった。 前日に話していた声より少し高めの声。 「弁当美味かったです。手紙もありがとう」と言われて「うん」と答えた。 わたしも緊張しているけど、彼の緊張も電話ごしに伝わってきた。 この時、帰りに大工王子のお弁当箱を買いに行こうと決めた。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

47人が本棚に入れています
本棚に追加