とある田舎の団地

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 田舎町、と言っても様々な地方にある町がそれに属することになる  だが今回話すこの田舎町というのは特別怪談話が溢れる様な場所でも、合戦があった様な場所でもなかった……筈だ  今から数年前の真夏。八月に差し掛かった日の事、母方の祖母の一声で僕を含めた複数人の親戚が集まった  祖母ちゃんと一緒に住んでいる母の妹である叔母さんは勿論、僕の両親、もう一人の叔母さんに姉である伯母さん  母のお兄さんである伯父さん二人は遠いところに住んでいるという事もあり、来れなかったがそれだけの人数が集まった宴会の様な席の事だ  姉である伯母さんがふと、夏という事もあって怪談話を始めた  そのどれも今、伯母さんが住んでいる団地での話。しかも伯母さんが住んでいる階での話だった 「いやぁ、ついこの間も部屋でみっちゃんに手伝ってもらいながら掃除をしてたらさ」  そう言って母ではない妹の名前を口にすると、叔母さんも何か思い当たる節があったのか少しだけ嫌そうな表情を浮かべ、反応した 「あぁ……そう言えばあったね」 ――――話を要約するとこうだ  たまたま姉が住む団地に来ていた妹が部屋の掃除の手伝いをしていた時の事だ
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