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「あ!これ…もしかして!?」
屋根裏部屋で色んな宝物探しをしていた『やよい』は、
分厚くて大きな本みたいなものを見つけた。
それは木の表紙で、鍵付き。
何やら祖父宅「梅ヶ枝(うめがえだ)家」
の家紋が彫られている。
ちょうどアルバムくらいの大きさで、
とても立派な物だった。
「お祖母ちゃーん」
やよいは階段の下に向かって声をかける。
「はいよー」
祖母のよく通る声が、すぐに返って来た。
何せ彼女は、ここ長野県、
地元のカラオケ大会で優勝の腕前なのだ。
更には、日本舞踊の師範代でもある。
だから足腰がしっかりしていて、姿勢正しく優雅に歩く。
梅ヶ枝家。
長野県では有名な老舗の料理店でもあった。
今はもう、長男夫婦に任せている。
この屋根裏部屋は、
母や母の兄弟達の小さい頃遊んだ玩具や、
人形、塗り絵等、色んな宝物の保管場所でもあった。
やよいのお気に入りの場所の一つでもある。
…話は約3時間程前に遡る…
待ちに待った夏休みがやってきた。
宿題をリュックに詰め込み、忘れ物がないかチェックに勤しむ。
小学校2年生の眞田やよいは、
毎年夏休みは家族全員…つまり両親とやよいで
母方の祖母の家に二週間ほど滞在している。
父親の運転する車で行くのだが、
いつも午前4時くらいに出発する。
混雑を避ける為だ。
ドライブイン、道の駅等に立ち寄り、
車はゆっくり安全運転で進んで行く。
それもまた楽しみの一つだった。
やよいは初孫という事もあり、
祖父泰隆(やすたか)も祖母三千代(みちよ)も、
それはそれは大層可愛がってくれた。
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