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数歩後ろ下がりながら口をパクパクさせる私を見て千昭は軽く鼻で笑った
「何でこんな所に未来人の千昭がいるの?って言いたそうだな」
千昭は川の見える芝生の上に座り、私の方を見て自分の隣の芝生をポンポンと叩いた
私はゆっくりと足を進ませ、千昭の横に腰を下ろす
私が座ると千昭は夕焼け空の方に目を向けて、何も話さずにいた
『…どうして未来に帰らなかったの?』
私はちょっと小さい声で千昭に話し掛けた
すると千昭は夕焼け空を見るのをやめて私の方を見た
「真琴の浴衣姿見たくて、1週間しかタイムリープしてないって言ったら、笑う?」
そう言った後、千昭は夕焼け空に目線を戻して話しを続けた
「元の時代も好きだよ。タイムリープ出来るし、何かと便利だし…。でも…やっぱり真琴らと野球してる方が楽しいわ」
いつの間にか私は目から涙を流していた
私は静かに深呼吸をしてヒックヒックなる息づかいを調える
『もう千昭は未来へ帰れないんだよね?』
「…ああ」
『寂しいよね?』
「…少しな」
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