第4章

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 携帯を耳から話した瞬間一気に疲れが襲う。疲れた。すごく緊張した。明日。明日彼と話をしないといけない。自分の心を彼にたとえ迷惑が掛かったとしても打ち明けると決めた。覚悟決めなきゃ。  今朝起きると八時だった。約束の時間まであと一時間。今から自分がしなければならないことを考えると、いろんな気持ちが襲い掛かってきて手がわずかに震えた。  でも、決めたからにはしなければならない。……約束も取り付けたからもう逃げられない。  私は布団から出ると、私服ではめったに着ないスカートを取り出した。ひざ丈の白いスカートだ。それに赤のケーブルニットを合わせて鏡を見る。  ……自分にしてはおしゃれしたほうだ。……これで大丈夫。大丈夫だろう。  おしゃれは女子の戦闘服……。そう聞いても嘘だろうと笑い飛ばしていたけれど、どうやら本当にそうだったらしい。いつもの服より自信がつく。  ……振られても……大丈夫。  公園に行くと、ブランコに座ってスマホをいじっている彼の姿が見えた。逃げたくなる足を無理やり、彼のほうへ動かし、私が今できる完璧な笑みを最大限の力を使って顔に浮かべた。 「……ごめん。待った?」 「……いや、大丈夫」  彼はスマホの電源を落とす。 「ゲーム?」 「いや、英単語アプリ」 「そっか。受験生だもんね」     
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