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隣のブランコに腰を下ろす。日曜日の朝にもかかわらず公園の中には子供がいない。私もよく彼とここで遊んだな……。
極度の緊張状態から逃げ出すために、私の頭は今までにないスピードで明後日の方向に動き出す。そうしていると彼のほうから口を開いた。
「……話って」
「あ、うん」
ど、どうしよう。……いや、言わなくては。言って私は再びあの店に向かうんだ。
「私ね……好きだったんだ」
自分の声がみっともなく震えている。
「え?」
そう聞き返す彼の顔を……表情を見るのが怖い。私はアスファルトの地面を見つめたまま言葉を続ける。
「隼人君のことが……」
「えっと、それは」
彼の戸惑った声が聞こえる。……きっと彼は私が恋愛感情を自分に対して持っていたなんて思ってもいないだろう。
「恋愛感情として」
……言ってしまった。これで、もう本当に後には戻れない。
「そう……か。でも、だったっていうことは今は好きではないっていうことだよな?」
「うん」
私は彼に恋愛感情を持っていない。これは私が一晩考えた結果だ。でも、彼に対して未だに執着心があるのはきっと……。
「分かった。それで?要件はそれじゃないんだろ?」
「……うん。昔の私って……覚えてる?」
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