第4章

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 彼の記憶からそれすらなくなっていたら……否定されたら私はどうなるのだろう。恐ろしさで手が震えた。 「覚えてる」  体の力が一気に抜ける。……まだだ。まだ気を抜くには早い。これからが本題なのだから。そう自分を鼓舞する。 「隼人君から見てどうだった?」 「ぼーっとしてたけど、誰より優しかったな……。さっき言われたから言うけど?好きだったよ。……初恋だった」  驚きと同時にもう好きではないと結論付けたはずなのに顔に熱がたまる。どうしようもない気持ちで目の前が……視界が揺れた。まだ、泣くには早い。 「……そっか。でもね……私はそんな私が嫌いだった」 「知ってる」 「え?」  思わず横を見ると彼は私のほうを見ずに前を向いていた。彼は公園の中にある水飲み場を見つめていた。私も水飲み場を見つめる。  ……昔ケガした時、彼が手当てしてくれたっけ。……どこから間違えたんだろう。  彼は繰り返すように、ゆっくりと言った。 「知ってるよ。木戸が……咲良が自分のことを認めていなかったことぐらい」  名前を呼ばれたことと、この場所のせいか一気に昔に戻ったような気分になった。 「そう……なんだ」 「……でも、俺はそれでも……好きだった」 「……なんで?」     
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