夏の空と輝くきみ

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 何度か深呼吸をしてようやく少しだけ落ち着きを取り戻したが、至近距離にある内藤の顔はさすがにまだ直視できない。  健太は内藤から顔を背けたまま、すぐ目の前にある逞しい胸を両手でやんわりと押し返した。  内藤の腕が健太の背中から離れる。  だいたい半歩くらい、健太と内藤の間にできた「友だち」の距離。そこに健太はほっとする一方、手を伸ばせば簡単に届くのに気軽にそれが出来ないことへちょっぴり寂しさも感じた。 「久米、大丈夫なのか?」 「えっ……あ、うん」  どうやら内藤は本気で健太の体調が良くないと思っているらしい。  微妙に顔を逸らしていても、内藤からの気づかうような視線を頬に感じる。  実際のところ具合なんて悪くない。  健太が待ち合わせの時間に遅れたのは、初デート前の女の子のように鏡の前で服をとっかえひっかえしていたのが原因だ。
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