夏の空と輝くきみ

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「あの、ま、待ち合わせ場所って河原じゃなかったっけ?」  具合なんて悪くないのに内藤から心配されているのが後ろめたい。どうにもいたたまれなくなってしまった健太は、大丈夫だと言うかわりにわざと明るい声でどうして内藤がここにいるのかと訊ねた。 「暗くなってきたし、人も増えてきただろ。河原って言っても広いからさ。多分久米のことだから、俺たちのこと見つけらんないだろうってなって」 「そうなんだ」  きっと健太を迎えに行くのにジャンケンかなにかをして、内藤が負けたのだろう。そうでなければ内藤がこんな所まで来てくれるわけがない。  改札を抜けて内藤のことを見つけた時には、自分に都合のいい妄想が現実になったとちょっと浮かれてしまった。しかし実際に現実を目の当たりにすると、下手に浮かれてしまった分、落胆もそれなりに大きい。 「えっと、わざわざごめん。ありがとう」  健太がぺこりと頭をさげると、内藤は一瞬変な顔をしたが「気にすんな」と言って健太の頭をくしゃっと撫でた。 「ん? 久米、これどうした? ここ赤くなってる」  何かに気づいた内藤が、おもむろに健太の前髪をかき上げた。  健太の額が全開になる。 「え? うわ、ちょっと何っ?」 「どこかにぶつけたのか? コブには……なってないようだな。痛みは? 冷やした方がいいか?」  健太の額がちょうど内藤の目の高さにあるため、額の中央が赤くなっていることに気づいたようだ。  内藤の指先が健太の額を優しく撫でるように触れる。額を中心にじわじわと熱が集まるのがわかり、健太は内藤の手を振り切るようにさっと顔を俯けた。  ただの友だちに額を触られたくらいで顔を赤くするだなんて、絶対に変に思われる。 「久米」 「ごめん。大丈夫、だから」 「久米」 「ぜ、全然痛くないし……冷やすとかしなくても」 「俺、久米に何かした?」 「え?」  内藤の言葉に健太が思わず顔を上げると、口調と同じ真剣な顔をした内藤が健太のことをじっと見ていた。
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