夏の空と輝くきみ

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 そんな中、雑踏に混じって内藤の声が健太の耳にぽつりと落ちてきた 「――――え」  おずおずと顔を上げた健太の目の前には、先ほどとは違って優しげに微笑む内藤がいた。 「久米が俺のこと避けてたんじゃなかったって、わかった。ごめんな、久米」 「え?」   内藤の様子から、健太が内藤のことを避けてはいないのだとわかってもらえたようだ。だが健太には内藤から謝られる覚えがない。 「内藤? なんで内藤が俺に謝るの?」  謝られるようなことなんて何もないのにと健太が聞くと、内藤はちょっと気まずそうな顔をした。 「俺、久米に変なこと言ったから。久米が誰かのことを嫌うとかないのに……明日から合宿も始まるし、ちょっと焦ってた」 「そんな」  そもそも健太が内藤のことを意識しすぎて変な態度をとってしまったのが一番悪いのに。 「内藤、俺こそごめん」  謝る理由を聞かれたら困るが、謝らずにはいられない。  日の暮れた駅前。花火大会へ向かう人たちで賑わう中、二人してごめん、悪かったと頭を下げあっていると、突然内藤が笑いだした。 「内藤?」 「いや、悪い。こんなところで俺たち何やってんだと思ったら笑えてきた」  そう言いながらも、笑いが込み上げてくるのか内藤がくつくつと笑う。そんな様子を見ていると、何だか健太もおかしくなってきて、つい吹き出してしまった。  誤解が解けたことへの安堵、そして内藤とこうやって一緒に笑っていられる嬉しさから、健太のなかからも自然と笑いが込み上げてくる。  ひとしきり笑っているうちに、内藤を前に緊張していた健太の肩から力が抜けた。  ようやく落ち着いた健太が、笑い過ぎて目尻に浮かんだ涙を指で拭いながら顔を上げた。  内藤と目が合う。 「…………内藤?」  健太の心臓が小さく跳ねた。  とっくに笑い止んでいた内藤が、楽しそうに笑う健太のことをじっと見つめている。 「久米が笑ってるの、いいな」 「な……っ、な、なに変なこと言ってるんだよ!」 「うん。いつも他のヤツとはそうやって楽しそうにしてるのにって、実はちょっと面白くなかった」 「…………ごめ……」
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