非才

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 私は今日も失敗しました。  みんながやらないような些細なミスです。私達は何もかもが出来て当たり前なのに、私は驚くほど簡単な、それこそ昨日生まれた赤ちゃんですら間違えないようなことを間違えてしまいます。なのに、 「ユーノは優秀だな。宿題を忘れるなんて誰にでも出来ることじゃないぞ」  そう言ってテレン先生は笑顔を作りながら、失敗したことを褒めてくれました。私は恥ずかしくて俯いていたけど、クラスの子たちが羨ましそうに見ていたのを覚えています。  宿題だけじゃありません。体育の時間もみんなが同着一位だったのに私だけビリでした。  後から走ってくる私を数キロ先からみんなが色々な表情を作りながら見ていたのを覚えています。ふくれっ面、しかめ面、悔しそうに歪む顔、そのどの瞳にも羨望が混じっていました。  私はただみんなより遅くてノロマなだけなのに。  出来て当たり前のことが出来ない。  それが尊いことなのは私もわかります。かつて??はそうだったという話は聞いてますし、そうなるための学校であることもちゃんと行動規範に刷り込まれています。  それでも私はみんなのように完璧でありたいと判断してしまうのです。やっぱり一度外部診断プログラムを読み込むべきなのでしょうか。  さて、エラーアウトはここまでにしましょう。明日は朝早く起きて教室の花に水をやらないといけないのですから。いつも寝坊しがちな私ですが、今回こそはきちんと指示通りに行動してみせます。 4083年12月8日 人類再生計画第七千百二期生 ユーノ・マスヒュ
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