第2章

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森だ――。 途中までは必死で道のりを覚えていたのだけれど。 「シャンプーは何を使ってる?」 「へ……?」 「ドライヤーは毎日ちゃんとかけて寝るか?そうだろ?」 黙っていると横からちょっかいを出してくるものだから。 「あの、朝吹さん……」 「由莉でいい」 あたりはすっかり暗くなり 僕はとうとう帰り道も見失った。 「あの……それで……とっくに二時間過ぎましたけど……」 僕が切り出すと 「そうか」 掴みどころのない運転席の男は チラと時計を見て言った。 「悪いな。俺はあんまり――時間の感覚ってやつを持ち合わせていなくてな」
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