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森だ――。
途中までは必死で道のりを覚えていたのだけれど。
「シャンプーは何を使ってる?」
「へ……?」
「ドライヤーは毎日ちゃんとかけて寝るか?そうだろ?」
黙っていると横からちょっかいを出してくるものだから。
「あの、朝吹さん……」
「由莉でいい」
あたりはすっかり暗くなり
僕はとうとう帰り道も見失った。
「あの……それで……とっくに二時間過ぎましたけど……」
僕が切り出すと
「そうか」
掴みどころのない運転席の男は
チラと時計を見て言った。
「悪いな。俺はあんまり――時間の感覚ってやつを持ち合わせていなくてな」
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