第2章

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「でも……」 「明るくなれば朝で暗くなれば夜だ」 同じ言語を話しているとは思えない。 時間だけじゃない。 この男は空気も読めないのだ。 「安心しろ。二時間と言ったら朝まではかからないから」 タイヤがパンクしそうなでこぼこ道を ひたすら走り続ける車内で 「そうですか……」 自ずとため息が漏れる。 「そう言えば大学でもあまり見かけませんね」 「俺か?」 「時間の感覚がないから?」 どうせ時間がかかるのならこの際。 相手の正体を探ろうと僕は鎌をかけてみるけれど。 「隠れてるんだ。人の間に。紛れるのは得意だ」
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