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指先を耳元を嬲られる度
逆らうどころか体中の力は抜けて。
「汐里」
「汐里――」
2人がかり甘く名前を呼ばれれば。
予想外に
「う……ん」
「決まりだ」
「ようこそ、孔雀荘へ――」
頷いてしまった。
「いい子だ。お兄ちゃんが可愛がってあげるからね」
この後どんなことになるのか
なんとなく分かっていたような気もする。
「俺もさ――響也の弟なら俺らにとっても弟同然だ」
少なくとも
ただじゃここを出られないってことだけは――。
見上げれば一面に
羽を広げた孔雀の天井画。
何事か企んだような顔をして
罠にかかった獲物を見下ろしていた。
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