第2章

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指先を耳元を嬲られる度 逆らうどころか体中の力は抜けて。 「汐里」 「汐里――」 2人がかり甘く名前を呼ばれれば。 予想外に 「う……ん」 「決まりだ」 「ようこそ、孔雀荘へ――」 頷いてしまった。 「いい子だ。お兄ちゃんが可愛がってあげるからね」 この後どんなことになるのか なんとなく分かっていたような気もする。 「俺もさ――響也の弟なら俺らにとっても弟同然だ」 少なくとも ただじゃここを出られないってことだけは――。 見上げれば一面に 羽を広げた孔雀の天井画。 何事か企んだような顔をして 罠にかかった獲物を見下ろしていた。
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