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切れ味が今一つ
風呂場で悩む男の後ろから
転がる首が「オイ!」と、もの言う
ああ公園の、すべり台
突き落した、あの子が
今も佇む、流れ出た両眼で
前にいるヤツの
背中に刃物を突き立てたい!
突立てられた俺の願望
『どなた様もご自由に』
住宅展示の一室にて
自由に駆け回る。子供らの声だけが・・・
夜道にて
振りかえった女が「ギャッ!」と叫んで逃げる
首のない自分を見て・・・
「もう帰ろう」
闇のなか、そう言って思い出す
私に連れなんか、いなかったはずなのに・・・
自殺の名所で
思いとどまった女の耳元に響く
「ちっ!」という悔しげな舌打ち
線路の上を歩く老婆
でも気にしない
この時間、毎日毎日、轢死体になるのを見るのだから
「あついわ」と妻が言う熱帯夜
それはそうだろう
とっくの昔に焼殺して、黒焦げになったのだ・・・
二階の「あの部屋」から、また人の気配
おかしいな
あいつを切り刻んで十年は経つ
「あの世はあるのか?」と、たずねれば
「そんなものは、ない!」
と返ってくる 自殺の名所で
自殺はわりにあわない
自殺したオレが言うのだ
間違いはない
何か首筋に落ちたかな
手をやれば赤い色
借りたばかりの 部屋のなかで
おまえおまえおまえ
今も頭のうしろから
俺を呼ぶ声が聞こえる・・・
今日も…
血の味がしてしかたない・・・
朝食の味噌汁
したり顔
皮膚一枚下は
牛頭馬頭議員
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