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大きな物音で、南は目を覚ました。
重たい体を持ち上げ、枕元の時計を見る。
深夜3時を指している。
隣に、祐樹は居なかった。
一人分のスペースが空いている。
寝室の外で物音がしていた。
南は立ち上がって、静かに扉を開ける。
扉を開けると、物音は台所からしていることに気づいた。
足音がしないよう廊下を歩いた。
明かりがついた台所を覗く。
祐樹が背中を向けて立っていた。
手には包丁が持ってある。
すると、突然包丁を振りかざし、台所の流し台にぶつかる。
祐樹が呟き始めた言葉で、南は息を飲んだ。
祐樹は、小さい声で「浮気しやがって、浮気しやがって」と繰り返していた。
南が後ずさりをした時、床の軋みで祐樹の動きが止まった。
祐樹が振り返る。
口が笑っていた。
END
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