第1章

4/4
前へ
/4ページ
次へ
. 大きな物音で、南は目を覚ました。 重たい体を持ち上げ、枕元の時計を見る。 深夜3時を指している。 隣に、祐樹は居なかった。 一人分のスペースが空いている。 寝室の外で物音がしていた。 南は立ち上がって、静かに扉を開ける。 扉を開けると、物音は台所からしていることに気づいた。 足音がしないよう廊下を歩いた。 明かりがついた台所を覗く。 祐樹が背中を向けて立っていた。 手には包丁が持ってある。 すると、突然包丁を振りかざし、台所の流し台にぶつかる。 祐樹が呟き始めた言葉で、南は息を飲んだ。 祐樹は、小さい声で「浮気しやがって、浮気しやがって」と繰り返していた。 南が後ずさりをした時、床の軋みで祐樹の動きが止まった。 祐樹が振り返る。 口が笑っていた。 END
/4ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加