炎の宴

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 紅い兵士達は、問答無用で村人を襲った。  一人を取り囲み、周り中から槍を突き刺した。倒れ込み、動けなくても容赦しない。  槍を突き刺したまま押さえ付け、首を切り取った。その行為は、老若男女を問わなかった。 「マルタの戦士達よ! 村に居るのは人では無いぞ! ヴァンパイアだ! だから情けは無用! 女や子供とて油断するな! 確実に首を切り取れ!」   馬上の騎士が大声で叫ぶ。   火と血に昂奮している戦士達は、その言葉にさらに後押しされた。  実は、この村は伝説の吸血鬼、ヴァンパイアの村だった。しかし、その恐怖の伝説が嘘みたいに、次々と殺されていた。  それもその筈、ヴァンパイア達は何百年も前から戦う事を忘れていた。  彼等の祖先は、人間達と戦い、今の村を守り続けた。そして、その圧倒的な強さから、誰もヴァンパイアの村を襲う者はいなくなった。  月日が流れ、ヴァンパイアは戦う事を忘れた。それどころか、生き物を殺す事さえしない。  なぜなら、ヴァンパイアは血を吸うために羊を飼っているが、複数から少しずつ吸っているので、家畜の命を取る必要が無かった。
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