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「怪我は……なさそうだね。よかった。アタシ、魔法とか使えないからさ」
その生き物は羽をたたむと、空中にお座りをした。声の感じから、純粋に俺を心配してくれていたのがわかったから、俺はそっと息を吐く。いますぐ走って逃げないといけない相手じゃなさそうだ。
いや、ここに俺、閉じ込められてたんだった。見つかった時点でもうだめだった。
「ありがとう。えっと……?」
「あ、アタシ?アタシ、うらら。うららちゃんって呼んでね」
どうもこいつは警戒心が薄い。
俺が両手を広げると、そこにふわっと乗っかってきた。
……警戒心!!!!!
頼むから!もう少し警戒心を持って生きてくれ!!!
「うららちゃんは……モンスター?動物?」
これだけの不思議生物なんだから、動物ってことはないだろう、人語を操るのなら、高位のモンスターなのかな。うららちゃんは手の上にちょこんと座ったままだ。
いや、だから、警戒心……。
「アタシ?んー、精霊って言って、信じてくれるかなぁ?……ふぉっ?」
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