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俺を見上げてくる小さな黒い瞳を見ていたら、なんだか……なんだか、助けてくれとすがりついて泣きたいような気持になった。
座ったまま、俺はうつむいた。
「ここから出すくらいなら、アタシにもしてあげられるんだよ?」
うららちゃんは、俺がすぐにここから脱出しようとしないことが不思議でたまらないらしい。俺だってここで死にたくはない。けど、出ていくのが怖い。
「ここを出ても、部下たちがいない。彼らが帰って来てくれないと俺はなにもできないんだよ。彼らがいてくれないと従兄弟たちが殺しに来たときに守ってもらえないし」
「なんか、人任せなうえにネガティブだなぁ」
呆れたみたいに言って、うららちゃんは羽を広げた。羽はなんだかフクロウっぽいぞ、と思って見ている目の前で、うららちゃんは扉をすり抜ける。
「わ!?」
すり抜けた!?
ガタン、バタン。と扉の向こうで音がした。ギ、ギ、ギ、と扉が途中まで開いたところでうららちゃんが戻ってくる。
「あとは自分で開けられる?」
「体のサイズのわりに、力があるんだな……」
「ちがっ……んんんんんんんっ……精霊的なあれこれだもんっ!」
うららちゃんは俺の顔の少し前にふわりと浮かぶ。
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