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ぴちょん。
シーン……。
ぽたん。
シーン……。
ここはずいぶんと静かな部屋だ。
どこかで水滴が落ちる音がしている。
地下水か、雨水でも漏れ出ているのだろう。そしてその水はすぐそこの床を、さながら泉のようにしているのだ。
空気はずいぶん冷えていて、ひどく湿度を含んでいる。しっとりと肌にまとわりつくようだ。
だからきっと、ここに置かれている物の保存状態は悪い。
幸い、おかしな匂いは鼻に届いて来ない。この場所が衛生的だとはとても思えないが、ほこりっぽさはないし、空気だけは清浄なようだ。
暗く、静かな部屋の中でレオリールはため息をついた。
従兄弟たちは今ごろ、喝采をあげているのかもしれない。
そして、森に連れていかれたイスメールとパルヴィーンは無事なのだろうか。母はああいう人だから、きっと今回も無事だろう。何かの幸運が舞い降りて、レオリールが側近の元にたどり着けたとして、きっと自分と同じように苦境に置かれた彼らの手助けになれるようなことは一切ないのだけれど。
レオリールは疲れきっていた。そろそろ、空腹や喉の渇き感じ始めている。
固く封鎖された扉にもたれ、うつむいて唇を噛んだ。
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