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小さく、あまりに得体のわからない生き物を目の前に、こいつは危険なのだろうか、と一瞬だけ疑問に思う。
それからゆっくり空中に浮いたまま、羽を畳んだ丸っこい生き物に自分は観察されているらしいぞ、と認識する。
自分の行動が軽率だったと今更悔やむのと、どうせここで死ぬのが確定しているのなら、餓死よりも一瞬で済みそうな方法のほうがいいじゃないかとか、足元の水はそういえばそんなに汚くないのだなとか、この生き物は一体何なのだろうかとか、いろいろ考えた。
剣の柄に、手をかける。
「……ねえ、あなた、名前は?」
女の子の声を出したそれは、てのひらサイズの、茶色い羽を持ったカピバラに見えた。
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