彼の正体

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年上ぶって冷めたふりして、恋の駆け引きなんて、もう面倒だった。 もう、このまま電話がかかってこない方が、気が楽なんじゃないかと思った。 でも、電話がかかってこなかったら、ものすごく落ち込んでしまうんだろうと思った。 次の日、私は珍しく会社を休んだ。 お昼頃、携帯が鳴った。忍からだった。 『美沙子?大丈夫なのか?病欠って聞いたけど…昨日は、仕事もミスったらしいし、美沙子らしくないんじゃない?』 「なに?そっちこそ珍しいことするじゃない。別れた妻にそんな事で電話してくるなんて…」 『だって、お前会った時からおかしかったからさ…ちょっと気になったんだよな』 「大丈夫よ。ちょっと頭痛がひどかっただけよ。明日は出社するわ…でも、気にしてくれてありがとう…じゃあね」 私は電話を切った。
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