タクシー怪談

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はいはい、俺は女装してるから、どこの誰かはわかるはずない。 「なにこれ。ただ、墓地を一人で徘徊してるだけじゃないか。」 「これの、どこが面白いんだ。何がミッションコンプリートだw」 「一人で、何、ブツブツ言ってんの?www」 は? どういうことだ? 俺は、もう一度、アップした動画を確認した。 「えっ!」 俺は、霊園の前で一人で手を上げて、ユラユラと霊園に歩き出す自分の姿を映した動画に目が釘付けになった。 「そ、そんなバカな。アップする前に確認した時には、ちゃんとタクシーに乗り込む俺の姿だったはず。」 そこからは、墓地を延々と徘徊する自分の姿が映し出されているだけで、タクシーもドライバーの姿も映し出されてはいなかった。 「じゃ、じゃあ、あのタクシーは・・・。」 午前零時。 タクシーは、コールタールを流したような、ねっとりとした闇をひた走る。 ゆっくりと、ドアが開く。 「お客さん、どちらまで?」
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