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「お待たせしました。」
そう言うと、タクシーに乗り込んで来た。
ドライバーが、再び車を走らせ始めると、女がドライバーに話しかけてきた。
「確認できました。」
「え、何をですか?」
「私がもう、この世に居ない存在だということを。」
「えっ?」
「私は、あの交差点で、事故にあって死んだことを確認してきました。」
「・・・。」
「〇〇町まで、お願いします。」
女は、そう行き先を告げてきた。
「承知しました。」
タクシードライバーは、言われるがまま、車を走らせた。
目的地についたドライバーが料金を告げると、女は自分はもうこの世の者ではないので、料金は支払えないと言った。その代わりにと、女は自分の名前と、ある住所を紙に書いて、ドライバーに渡してきた。
ここに住む者が、きっと料金を支払ってくれるはずだと言う。
ドライバーは仕方なく、その紙を受け取ると、女をそこで下ろして、また闇の町へと車を走らせた。
女は、降り立ち、ドライバーを見送ると、満面の笑みをたたえた。
「イエーイ、ミッションコンプリート!」
スマートホンに向かって、叫んだ。
「みなさん、いかがでしたか?僕は、また伝説を作りました。見ました?あのドライバーのビビった表情!」
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