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顔を背けているシュウの耳がうっすら赤くなってるのに気付き、その気持ちに共感するやら幹のマイペースっぷりに感心するやら…。
気が抜けたせいか呆然としていると、いつのも軽い足取りで幹が近づいてきた。
「で、野望は達成されたし、偶然ナオトにも会えたし、やっぱりめんどくさいし、三人でどっか遊びにでもいかないっ?」
冬の空気に負けないぐらい爽やかに笑った幹は、当然のように手を差し出した。
「―――賛成っ」
俺は、音をたててそれに手を重ねた。
幹は俺の手を掴んだ途端シュウの所に走り出し、その勢いのままもう片方の腕をシュウの腕に組ませた。驚いた顔をしたシュウが、少しだけバランスを崩して持ち直す。幹は相変わらずの笑顔で、シュウも少しはにかみながら抑えがちに笑った。
そして俺は今度こそ、
心から笑うことが出来た。
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