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大山自身は、もう何もかもが億劫になっており捜査からは手を引いて傍観していた。
逆にそれが組織犯罪対策課に手柄を譲った庁内融和のあっぱれな「刑事部の模範、その謙虚な姿勢を皆んな見習え」とさらに評価が上がってしまう。
大山は長期療養に入りたいと思っているのだが、なぜかカウンセリングの待合室で話される会話が事件に関わる事ばかり。犯罪に関わった人間がそれぞれ深い悩みに苦しんでいる事を知った。
内心の葛藤と裏腹に、自分が早く楽になりたいからと部内で報告することで、この大山の情報をもとにした捜査は次々と大事件の背景を明らかにしていく。
大山の「鬱ネットワーク」がいつしか警視庁最大の情報源となっていた。
そんな凄腕刑事大山の噂を聞いた警視庁特殊班から「人質拳銃立てこもり事件」の犯人との交渉役の指令が下りる。
大山はその日も朝から鬱で全く頭が働かない。指令を断るのも面倒な為、浮かぬ顔で事件現場に訪れ犯人と対峙することになった。
事件の概要説明も上の空でよく分からず、防弾チョッキも付けずに立てこもり現場のアパートにフラフラと静かに近づいていく大山。
別に殺されたっていいと思っているので気兼ねしないでどんどん近づいていける。
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