最終章 貴方と溽暑にまどろむ

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「俺に連絡があったのが昼頃だったんだが、なんか大学の所用で手を離せないってたんだよ」 透はビールを飲みながら昌弘から連絡の入った経緯を伝える。 「しょよう? 」 理解できなかったのか緑は舌ったらずな発音でもう一度聞き直せば透が説明した。 「大学に関係する用事ってことだよ馬鹿。まあ、元々昌弘くんの無理のない程度でアルバイトを頼むって言ってたからな」 透はアルバイトを頼んだ時のことを思い出しているのか目を瞑ると一人うんうんと頷いていた。 「そ、そのしょようってやつだったらまーくん次には来るんだな? 」 しかし、緑にとって重要なのはそんな契約時の事なんかではなく今日来ないのならば、明後日は来るのかどうかという事だ。 「取り敢えずは今回って言ってたが、昌弘くんだって暇じゃないんだ。だから大学が忙しいんだったらそっちを優先させろって言ってる」 「は? 俺の家庭教師は? まーくんの仕事だろ? 」 まるで透の言葉に反抗するかのように言葉に棘が含まれている。 「...お前そんなに勉強好きだったか? それでも昌弘くんの学業優先に決まってんじゃねぇか。それとも昌弘くんをやめて別の奴を雇うか? 」 そんな緑を冷静に見ながら透が答えれば緑は口をつぐみ、いっとき考えるとボソリと呟いた。 「........いやだ」 「だろ? 前みたいに遊んでばっかりは困るが適度に勉強してりゃ別にお前だって遊んでもいいんだよ」 透からすれば四六時中遊んでばっかりは困るが、勉強漬けにしたいわけでもないのだ。 「....わかった。まーくんが来れる日を待てばいいんだろ」 「ああ、そうしな。そもそもまた明後日には来れるかもしれねぇんだ気楽に待ってな」 そう言うと、透は手元にあるビールを口内へと流し込んだ。
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