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7
全てを言いきった緑は謎の高揚感を味わいながら昌弘を見据えていた。
はじめはどうなるものかと思ったが結果、言いたいことは言えた気がする。
「うぐ..ひぐっ...」
興奮しすぎた為か熱くなった緑の体。
その熱の所為なのだろうずっと鼻水が止まらないのだ。
感情が高まり過ぎれば頬は上気してしまい、涙は止まらなくボロボロと溢れ泣き腫らしてしまっていた。
それすら仕方ないと思って汚らしくなった顔を手の甲で拭おうとすれば止められた。
「待って」
そっと捕まえられた手は久しぶりの昌弘の感触の為ついビクリとしてしまう。
「ま...まーくん? 」
「冷やすもの持ってくるから待っててくれ。その顔じゃ帰れないだろう」
「あ...え? ...うん」
かけられた言葉は先程とは打って変わりとても優しいもので緑は戸惑いながらその言葉に従う。
「すぐ戻るからジッとしてろよ」
そう緑に声をかければ昌弘は部屋から出て行った。
昌弘の消えていった扉を見ながらポツリと呟く。
「...も..う...怒ってない? 」
返事のない問いかけであったが緑は自分の言葉に涙が込み上げてきてしまい、ついその場に蹲ってしまう。
「うっ...ひぐっ...よ..よがっ.たー...まーくん怒ってなかった...」
張り詰めていた空気からやっと解放された緑。
とめどなく溢れる涙と鼻水を指先で拭うも指先が追いつかなかった。
蹲ったまま顔を指先で拭っていれば扉からカチャリと開く音がする。
顔を上げ「まーくんっ! 」と呼べばそこには昌弘ではなくこの研究室まで送ってくれた金色に近い茶髪の男、梶原がニヤニヤしながら立っていた。
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